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真円度の不良の対策は?【工作機械トラブルの基礎知識】

真円度指定のある製品の加工をする場合、真円度の精度が重要になってきます。しかし、ときには真円度が出てこない真円度不良が起こることも。原因や対策方法を知っておきましょう。

真円度について

真円度とは、その文字のとおり「どれだけ綺麗な円になっているか」の度合いです。単語だけで見るとわかりにくいですが、円になっているものの加工をする際に必要な幾何公差のひとつです。幾何公差はものの位置や大きさの許容できる誤差のことを指します。

真円度が重要になってくるのは、筒状の製品や回転する製品で、とくに回転する製品に用いられる場合は真円度の精度によって回転のブレが変わってしまうため、真円度不良とならないように対策しておくことが大切です。

真円度の測り方は?

真円度はマイクロメーターで計測する場合は、外形を等分割して最大値と最小値を調べ、差を2で割って出します。分割は4~8分割で行います。マイクロメーターのみで計測できるので手軽ですが、等分して計測していても、最大値と最小値の2点間測定になるため、ルーローの三角形のように円ではないのに真円度の精度が高くなる例も出てしまいます。これを回避するための3点式のマイクロメーターもあります。

三次元測定機で計測する場合は、計測するものの4か所以上に測定用の棒(スタイラス)をあてて、それぞれの誤差を二乗の和を最小にして真円度を出します。測定する箇所が多いので、それだけ精度が高くなります。

真円度不良の原因

真円度を測る際に、うまく数値が出てこない真円度不良はなぜ起こるのでしょうか、原因は大きくわけて5つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

締め付けが強すぎる・弱すぎる

計測時はチャックやボルトなどの固定具で対象物を押さえますが、その際の締め付けが強いと対象物の材質によっては変形してしまい正しい数値が出てこないことがあります。また、反対に固定が弱いと測定時に測定物が動いてしまったり元に戻ろうとする反発の力が働いてしまい数値がでなくなることもあります。

工作機械で言えば、旋盤の場合は主軸であるチャックや3点の爪で固定して測定しますし、フライス盤なら治具という補助工具やボルトで固定して測定します。それぞれ適切なパワーで固定できているか確認することが大切です。

プログラムの設定ミス

先に挙げたフライス盤によるエンドミル加工は、加工物を固定して静止させた状態で回転させた刃物をあてて切削する加工方法ですが、プログラムの設定ミスによって真円にするアールの指令が違っていたというケースなどで真円度不良が起こります。

機械に異常がある(動作・傷・汚れなど)

設定ミスだけでなく、機械そのものに異常があって真円度不良が起こることもあります。例えば、切粉が正常に排出されていなかったり、レベルが出ていなかったりするケースです。

また、汚れやごみがあるときも、凹凸ができてしまうために真円度不良になります。

刃物や切削条件が不適切

工具は使っていくうちに消耗してしまいます。刃物が摩耗している場合にも真円度不良が起こります。加工物の表面が荒い仕上がりになってしまったり切削条件で温度設定が高く加工物の癒着や変形が起こったりするケースです。

加工物自体に問題がある

切削機械や切削条件、締め付けの強さといった要因のほかにも、加工物そのものに問題があって真円度が起こることも。薄い加工物や大きい、長い加工物などは切削時に変形が起こりやすく真円度不良が起こります。また、熱加工をするものも圧縮応力や引張応力によって真円度不良を起こすことがあります。

真円度不良が起きた場合の対策は?

真円度不良の原因から対策をしていきましょう。できることは主に3つです。

爪やボルトなどの保持方法を見直す

旋盤の爪を2点ではなく3点や6点、リングタイプにするなど保持方法を変えてみる、弾性変形を使ったダイヤフラムチャックなど主軸のチャックを変えてみる、フライス盤のボルトをトルクレンチで締める、ベース面を見直すなども一つの方法です。

また、加工物を固定するときに適正な力で保持しているか、加工物の変形しにくい部分に爪が当たっているかなどを見直してみましょう。

機械本体を見直す

チャックなどにガタがないかをチェックしたりレベルは適正かをチェックしたり本体を見直してみましょう。

切削油の量や切粉が正常に排出できているか、冷却はできているか、回転バランスはどうかなど出ている数値にいつもと違うところがないかのチェックも必要です。

設定を見直す

そもそもの切削条件に問題がないかを見直すのも大切です。プログラム上のミスは見逃すことも多いので注意が必要です。

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