工作機械の周辺装置

このページでは、工作機械の周辺装置について、周辺装置の種類やそれぞれの特徴を解説しています。

工作機械の周辺装置とは

工作機械の周辺装置とは、工作機械と連結したり周囲に設置したりして使用する装置のことです。

工作機械は、加工そのものは1台で完結できる機能を持っていても、作業前後の準備や処理には人の手がかかります。

周辺装置で作業準備や後処理を自動化すれば、一連の作業の流れを効率化し、リードタイムやサイクルタイムを短縮します。また、ある程度の作業を自動で行えるため、省人化につながります。

供給・排出を補助する装置

ローダー・アンローダー

ローダーは加工前のワークを供給する、アンローダーは加工後のワークを排出するための装置です。棒状の材料に特化したものを「シャフトローダー」や「バーフィーダー」と呼び、ローダーは機械の左側、アンローダーは右側といったように、工作機械の側面に取り付けられます。アンローダー後、工程によっては検査機と連動することも可能です。

また、「ガントリーローダー」という、工作機械に覆いかぶさるように連結しているタイプもあります。

パーツキャッチャー

ワークの取り付けや取り外しができる装置です。ハンドで掴む様子から「キャッチャー」と呼ばれますが、ワークを押し出してバケットに落下させるタイプもあります。

押し出しタイプのパーツキャッチャーのバケットは、ワークを傷つけないよう樹脂でできているのが特徴です。

ワークストッカー

バケットやパレットに移動させたワークを整列させ、平置きや段積みなどに配置する装置です。多段に積むタイプのワークストッカーは、パレタイジングと呼びます。

アームロボット

関節のような構造を持つアームでワークを掴み、ワーク供給や排出をこなす産業ロボットです。

むき出しで稼働するアームロボットは、稼働時には作業者の安全を守るため、周辺への安全柵の設置が必要でした。しかし、安全装置付きの安全性が確保されたアームロボットが登場し、安全柵を最低限にして稼働できるようになりました。このような安全性が認定されたアームロボットは「協働ロボット」と呼ばれます。

切削油を洗浄する装置

ミストコレクター

切削油を使用した切削加工では、高圧での吹き付けによるオイルの飛散や熱気化による霧化が起こります。ミストコレクターは、このオイルミストを除去する装置です。

オイルミストは空中に漂うと人体に悪影響を及ぼすほか、設備の汚れや空調・電気系統の故障を引き起こすため、切削加工時に重要な役割を果たします。

オイルスキマー

切削油が蓄積しないよう、オイルタンクに浮いた汚れや油を除去するための装置です。オイルスキマーには、ベルト式、スクリュー式、スクリュー式などさまざまなタイプがあります。

スラッジ回収装置

タンクに沈んだ「スラッジ」と呼ばれる細かい切粉やヘドロ状の汚れを回収する装置です。フィルターでろ過したり磁力でスラッジを吸着したりするタイプがあり、中にはオイルスキマーの機能をあわせ持ったものもあります。

クーラントチラー

クーラントチラーとは、切削油の温度を管理するための装置です。そもそも切削油は、加工時に摩擦を軽減して加工物が高温になるのを防ぐ役割を持っています。油温が一定でないと加工精度にもばらつきが起こるため、クーラントチラーで低い温度を保つことが必要です。