旋盤はメンテナンスが欠かせません。怠ると故障につながり短寿命になりますし、製品の完成度を高めるためにもいい状態を保つことは重要です。ここでは、旋盤のメンテナンスについてポイントをまとめました。適切な旋盤のメンテナンスで長持ちさせましょう。
旋盤のメンテナンスでは、日常的に切屑の除去と注油が重要です。適切な清掃と注油が機械の寿命を伸ばすことにつながります。切屑を放置すると古い油と切子が固まってこびりつき頑固な汚れになります。送り台の摺動面だと摩耗が進行しかねません。潤滑油は劣化するため意識的に交換し、クーラントタンクの清掃をしっかり実施してください。
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旋盤のベッド部分は特に清掃を意識したい箇所です。一番切子が蓄積しやすい箇所ですし、ベッドを摺動する往復台は送り台での中でも調整がむずかしいため頻繁なメンテナンスが求められます。
また、送り台と同じく切子の清掃と注油がメンテナンスの基本です。平面部分や摺動部、それ以外の部分もサビを防ぐために油を塗布します。ベッドは範囲が広いため、一部摩耗しているだけでも重量がある箇所に合わせて調整が求められるのです。そのため均一に使わなければなりません。
メンテナンスでは機械を使う前に可動部を何度かフルストロークして一部分だけが摩耗するのを予防できます。メンテナンスでは各部フルストロークさせることを意識してください。
主軸は適切な状態を維持するために定期的なメンテナンスを心がけましょう。フランジ面やテーパー面をチェックする際、打痕、付着物の有無とフレ精度を意識してみてください。
フランジ面は目視で打痕や付着物をチェックします。メンテナンス時に限らず、ツール交換時も確認してください。不十分だと、チェック取り付け時、フレ精度に悪影響を与えます。
付着物はブラシやスクレーパーで軽く除去してください。打痕はオイルストーンで除去します。フランジ面とオイルストーンへ切削油を塗布したら、主軸を低回転で回転させつつ、軽くオイルストーンをフランジ面に当てて研磨する流れです。
高回転で強く押し付けるような研磨をすると食いつくため危険です。低回転で行いましょう。テーパー面は主軸を低回転で回転させて指で問題がないか確認します。角タイプのオイルストーンは研磨できないため、丸タイプのオイルストーンで研磨するのがポイントです。
フレ精度では、フランジ面の穴を避け、ダイヤルゲージを当てます。一部、プラス方向に大きくフレが起きるなら付着物の可能性があるため、オイルストーンで除去してください。
送り台は使用を続けると各部摩耗して調整が必要です。ガタがたくさんある状態で使うと摩耗が促進されるためメンテナンスが求められます。
送り台周りのメンテナンスでは、清掃と注油が基本です。金属加工をして出た切子の清掃は毎回必ず行います。放置すると古い油と一緒になり固まってこびりつくからです。送り代の摺動面にこびりつくと摩耗が促進します。アルミのような柔らかな金属だと、摺動面との間に入り噛み込みが発生するため注意が必要です。
取り切れない切子はオイルストーンで落とします。油の塗布は基本的に刷毛ですが、指定がなければ、工作面の摺動部に使う油は一般的にISO-VG規格の63番です。ただし、同粘度のコンプレッサーオイルも使えます。
ミシンオイルやスプレー潤滑剤は柔らかいためすぐに流れ落ちるため注意が必要です。摺動面のグリース塗布も、切子を集めて摩耗を促進されるため注意しましょう。
また、ジブ調整も定期的にしないとスムーズに動作しません。ただ、ジブ調整は必要になるまで時間がかかります。日常的に長時間使用しても、数週間程度では問題が起きないです。ただ、想定より短期間で大きなガタが起きた場合、基本的なメンテナンス不足が考えられます。他にも、過大な切込み量や速度にするような重切削による大きな負担をかけたり、加工中に大きな衝撃が加わったりすることが考えられるのです。
チャックは切削時に内部へ溜まりやすい箇所です。定期的な分解清掃でスムーズな動作を確保できます。3爪チャックは、チャック裏面にある蓋を取り外すと分解可能です。ただし4爪チャックは完全に分解できない構造が多く、清掃はエアブローで行います。
フランジ面と接する面のネジを緩めて抜き取り、傘ギアを取り外してください。スムーズに抜けない場合、強引に抜こうとすると破損のリスクがあります。無理に抜かずに清掃したほうがいいでしょう。清掃終了後、摺動部分に注油をして組み立てます。スクロールギアと傘ギアを取り付け、傘ギアと抜け止めねじが入っていた穴にも注油が必要です。裏蓋を締めて爪の摺動部とスクロールギア部分に注油し、爪を取り付けます。
心押台の内部テーパー部を清掃します。切子が付着するとツールを取り付けたとき、不具合が発生しやすい箇所です。ただ、回転できない部分ですから、簡易的なメンテナンスではウエスで内部清掃する程度にします。
切子が固着しているなら、軸部分を分解し、丸タイプのオイルストーンで研磨してください。軸部分は送り続けることで抜けるタイプと、抜け止めのネジが付いているタイプがあります。抜け止めがあるなら、ネジを緩めて取り除いてください。
バイトは切削加工で使われています。刃先の研磨とチップ交換とともに細かなメンテナンスをすることで、機器の寿命を延ばせるほか、製品加工時の品質向上が期待できるのです。
バイトを取り付ける際、刃物台の取付面に切子のような付着物がないかチェックします。もし付着物があるのに取り付けると、バイト裏面にダメージが溜まり、心高が変わるリスクがあるからです。また、取り付け不良によるビビリの原因につながります。
バイトの裏面も切子や打痕がないかチェックし、あるならオイルストーンで除去してください。スローアウェイバイトのチップ取付面では、まず切れ味が悪いと感じたらチップ交換しましょう。ただし、チップの取付面に切子が付着すると固定が弱まるためビビリにつながります。チップ交換時はエアブローを使用して付着物の除去が必要です。
クーラントタンクの清掃は定期的に行いましょう。年に1回のペースで行うと、クーラントタンク内に沈殿する大量のスラッジの除去や廃液を取り除くことになります。清掃の間は機械を止めることになり、生産効率の低下や人件費、廃液の産廃処理費などの問題が生じるのです。そのほか、切削油(クーラント液)の劣化が加工時の品質不良や悪臭などのリスクももたらすため注意が必要です。
クーラントタンクの清掃では、古い切削油の除去とタンク内のスラッジ除去を行います。その後希釈した切削油を循環させるフラッシングで汚れを取り除く方法が挙げられます。タンク清掃に関しては対応が難しい場合もあるため、定期的に業者に依頼してもよいでしょう。
GoogleやYahoo!といった複数の検索エンジンで工作機械のオーバーホール(OH)やレトロフィット(RF)を手掛ける会社を調査。2022年1月4日調査日時点で上位に表示された19社を、さらに調査していきました。
おそらく皆さんが一度は聞いたことがある会社ばかりかと思います。
「自社内で電装部分が一気通貫で担当できる」ことを大前提に、「技術者のスキルが高い」ことを証明する「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」「専用機の設計製作をやっている」という3つの項目を満たす会社を追加調査したところ、これからご紹介する「三宝精機工業」「スギヤマメカレトロ」が該当しました。
技術者の腕なら
こんなOH・RFを依頼するのがおすすめ
三宝精機工業は、【1】電気技術者が自社内におり、【2】「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」2点を満たし、【3】機械技術者が27名在籍、大型機械も自社内で直せる規模。
「技術力」としたのは、技術者の研修や技術の継承に関する記述の量が、調査した19社中一番多く、また廃業した昌運工作所のアフターサービスを日本国内外で唯一正式移管されているということが理由です。
スギヤマメカレトロ【1】電気技術者が自社内におり、【2】「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」「専用機の設計製作をやっている」3点を満たし、【3】社員数110名を擁し、本社・拠点工場とは別に、金型工場・大型機工場を、海外にも強力会社を持ちます。
調査した他の18社にはない、専用機の設計・製作の事例も多いため、「頭脳」としています。