インバーターが故障すると工作機械のモーターが止まる可能性があります。ここでは、インバーターの耐用年数やメンテナンス方法について紹介します。
機械を作動させるには電源が必要で、電源には直流と交流があります。工場や家庭で使用されている電圧の高いものはすべて交流電源です。電圧は一定であり、周波数は地域によって定められています。
しかし、使用する機器によっては電圧や周波数の異なるものが必要になる場合があります。交流のままでは電圧や周波数を自由に変更するのが難しいのが課題。そこで登場するのがインバーターです。
インバーターは、交流の電圧を直流に変更し、再び直流を交流に変換する際に電圧や周波数を変えることができる装置です。インバーターにより、可変可能な電圧や周波数を作り出すことができるのです。
インバーターがなければ自由自在に電圧や周波数が変更できず、動きや力が一定のものになってしまいます。インバーターによって電圧や周波数を変更することで状況に応じた力や動きを提供することが可能となり、節電効果も期待できます。
インバーターには多くの部品が使用されていて、その部品すべてが正常に動作しなければ本来の機能を発揮することはできません。インバーターの耐用年数は、一般的に10年ほどが目安といわれています。これは、電子部品や樹脂などが劣化するためです。
ただし、インバーターが設置される環境や運転条件の影響などにより、寿命は10年より短い可能性もあります。トラブルを未然に防ぐためにも、耐用年数に達する前に機種の更新をおすすめします。
切断刃が回転しないため原因調査をしたところ、モーターの回転を制御しているインバーター部品のエラーで停止していることが判明。エラー内容はモーターに異常な電流が流れているとのことでしたが、モーターをはずしてもエラーが表示されていることからインバーター本体の故障と判断されました。
電力の測定によって点検を行います。電力は、インバーターの入力側と出力側の両方で測定します。インバーターに対応しているデジタルパワーメーターを使用するか、電流力計形計器を使用して二電力計法または三電力計法にて電力を測定しましょう。入力側は電流が不均等になりやすいため、比較的安定した結果がでる三電力計法がおすすめです。出力側は、二電力計法で計算をしていきます。
ただし、三相電力計でも演算式の違いや測定器の違いによって誤差が生じることがあるので注意しましょう。また、電流測定側に変流器が使用されている場合や電圧測定側にPTが内蔵されている場合には誤差が生じることもありますが、インバーターの異常ではありません。
電圧の測定も電力と同じく、インバーターの入力側・出力側の両方で行います。入力側の電力は正弦波で歪率が小さい特徴があるため、通常の交流計器でも精度のよい測定が可能です。インバーターに対応したデジタルパワーメーターや可動鉄片形交流電圧計を使用して測定を行います。
出力側の計測する際には注意が必要です。出力側はPWM制御した矩形波の電圧となっていて、入力側とは異なります。指針式のテスターをすると実際の値より大きな電力を示してしまうため、整流形電圧計を使用した測定を行いましょう。
入力の測定に使用可能な可動鉄片形交流電圧計では、計測ができません。また、操作パネルに表示されるモニターの値は正確な値が表示されるため、操作パネルにおけるモニター、あるいはアナログ出力がおすすめです。
電流を測定する場合も、入力側と出力側で測定を行いましょう。どちらも可動鉄片形計器を使用した計測が可能です。ただし、キャリア周波数が5kHzを超える場合は計器内部の金属部品の過電流損が大きくなります。計器の焼損が起きる可能性があるので、使用しないようにしましょう。
入力側は電流が不均衡になりやすい傾向が強いため、三相すべての計測がおすすめです。なお、測定値の基準としてインバーター定格電流以下の各相における不平衡率の差がプラスマイナス10%以下になっていることを確認しておきましょう。
クランプ電流計を使用する場合、平均値検波方式のものを使用すると誤差が大きくなります。実効値検波方式のタイプを使用し、正確に計測することが大切です。
自社でインバーターを修理することが難しい場合、工作機械のオーバーホールやレトロフィットを行っている会社に依頼するとよいでしょう。劣化した部分の修理や部品交換によって、本来の機能や精度を回復することが可能です。
GoogleやYahoo!といった複数の検索エンジンで工作機械のオーバーホール(OH)やレトロフィット(RF)を手掛ける会社を調査。2022年1月4日調査日時点で上位に表示された19社を、さらに調査していきました。
おそらく皆さんが一度は聞いたことがある会社ばかりかと思います。
「自社内で電装部分が一気通貫で担当できる」ことを大前提に、「技術者のスキルが高い」ことを証明する「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」「専用機の設計製作をやっている」という3つの項目を満たす会社を追加調査したところ、これからご紹介する「三宝精機工業」「スギヤマメカレトロ」が該当しました。
技術者の腕なら
こんなOH・RFを依頼するのがおすすめ
三宝精機工業は、【1】電気技術者が自社内におり、【2】「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」2点を満たし、【3】機械技術者が27名在籍、大型機械も自社内で直せる規模。
「技術力」としたのは、技術者の研修や技術の継承に関する記述の量が、調査した19社中一番多く、また廃業した昌運工作所のアフターサービスを日本国内外で唯一正式移管されているということが理由です。
スギヤマメカレトロ【1】電気技術者が自社内におり、【2】「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」「専用機の設計製作をやっている」3点を満たし、【3】社員数110名を擁し、本社・拠点工場とは別に、金型工場・大型機工場を、海外にも強力会社を持ちます。
調査した他の18社にはない、専用機の設計・製作の事例も多いため、「頭脳」としています。