工作機械の部品製造やオーバーホールなどの精度を高めるために必須となる職人技「きさげ加工」について、概要や必要性、技術などについて紹介します。
きさげ加工とは、きさげと呼ばれるノミ状のスクレーパーを使用して、金属の表面にわずかなくぼみをつけながら、出っ張りを削り取ることにより、平面、直角、真直に仕上げる金属加工技術です。金属を摺り合わせながら、ミクロン単位に削る職人技であり、精密工作機械でもできない平面仕上げを実現することができます。
きさげ加工は、NC工作機械のベッドやコラムなど、機械の精度や品質を大きく左右する構成部品を加工する際に使われる技術です。マシニングセンタやNC研削盤でも対応できないミクロン単位の精度で仕上げられるため、部品同士をたわみなく締結することができます。
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工作機械で生産・加工される部品の精度は機械の精度によって決まっており、超えられないレベル(母性原理)があります。しかし、職人の手技であるきさげ加工技術により、より精度の高いNC工作機械の製造が可能に。
精度の高い工作機械を製造するためには、きさげ加工のような手作業による追加工・調整が必須となります。
摺動する部品や物と物が接触する部品を製造する場合、凹凸がすくない平らすぎる精度でつくるとピッタリとくっついて離れにくくなるリンギングという現象が生じます。リンギングが生じると部品が摩耗し、摩擦による機械の熱変異で精度が狂うだけでなく、場合によっては機械が停止することも。
きさげ加工をすれば、油溜まりのためのくぼみをつくることができ、潤滑油が入り込むことでリンギングを防止することが可能です。
基準面となる常盤に染料を塗ってこすりつけ、染料が残った部分をきさげで削り落す。
ワークに染料をつけて基準面となる常盤にこすりあわせ、染料がはがれた凸部分をさらにきさげで薄く削り落す。
求める精度がでるまで、赤アタリと黒アタリを繰り返す。
高い平面度が求められるアタリでは、3枚の上番をすり合わせる3面摺り合わせと行います。これにより、測定器に頼ることなくすべての定盤を平面に仕上げることが可能です。
レベルの高いきさげ加工技術は、職人の技、匠の技と称されるほど、オーバーホールの仕上げを左右する重要な技術です。習得するには、長年の経験とスキルが必要であり、技術を熟練者から若手へ継承することも大切。
オーバーホールを依頼する場合は、きさげ加工技術のレベルを事前に確認することが大切です。
GoogleやYahoo!といった複数の検索エンジンで工作機械のオーバーホール(OH)やレトロフィット(RF)を手掛ける会社を調査。2022年1月4日調査日時点で上位に表示された19社を、さらに調査していきました。
おそらく皆さんが一度は聞いたことがある会社ばかりかと思います。
「自社内で電装部分が一気通貫で担当できる」ことを大前提に、「技術者のスキルが高い」ことを証明する「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」「専用機の設計製作をやっている」という3つの項目を満たす会社を追加調査したところ、これからご紹介する「三宝精機工業」「スギヤマメカレトロ」が該当しました。
技術者の腕なら
こんなOH・RFを依頼するのがおすすめ
三宝精機工業は、【1】電気技術者が自社内におり、【2】「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」2点を満たし、【3】機械技術者が27名在籍、大型機械も自社内で直せる規模。
「技術力」としたのは、技術者の研修や技術の継承に関する記述の量が、調査した19社中一番多く、また廃業した昌運工作所のアフターサービスを日本国内外で唯一正式移管されているということが理由です。
スギヤマメカレトロ【1】電気技術者が自社内におり、【2】「技術者の研修や技術継承に関する記述がある」「設計図がなくても対応可能」「専用機の設計製作をやっている」3点を満たし、【3】社員数110名を擁し、本社・拠点工場とは別に、金型工場・大型機工場を、海外にも強力会社を持ちます。
調査した他の18社にはない、専用機の設計・製作の事例も多いため、「頭脳」としています。